美容室向けのヘアケア製品で知られる ミルボン(4919) が、2025年12月期の第3四半期決算(1〜9月)を発表しました。この記事では、決算内容を初心者にもわかりやすく解説しつつ、今後の見通しや注目ポイントまでしっかりまとめています。
美容・化粧品関連株に興味がある人や、サロン向けビジネスの動向を知りたい人にぜひ読んでほしい内容です。
ミルボンの決算ポイントまとめ
まずは大きなポイントを一言でまとめると…
売上は伸びたけど、利益が大きく落ち込んだ決算
という内容です。
売上・利益のハイライト
| 指標 | 実績(2025年Q3) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 378億円 | +2.3% |
| 営業利益 | 34.9億円 | -28.1% |
| 経常利益 | 32.0億円 | -34.4% |
| 四半期純利益 | 16.8億円 | -50.4% |
売上は伸びているのに、利益は半分に。なぜこうなったのかを、以下でわかりやすく解説します。
売上が伸びた理由:強かった“ヘアケア”と海外市場
ミルボンの売上は主に以下のジャンルで成り立っています。
① ヘアケア用剤(主力)
- 売上:235億円(+6.0%)
- 「エルジューダ」などの人気ブランドが好調
→ 売上増の最大の貢献者
② 染毛剤(ヘアカラー)
- 売上:124億円(-1.9%)
- 国内で美容室が低価格帯に流れる動き
→ 利益率も下がる - ただし、オーガニック系「ヴィラロドラ カラー」は伸び続けている
③ 化粧品
- 売上:5億円(-29.1%)
- 大幅減。上期の評価損も痛手に
地域別:海外がしっかり成長
| 地域 | 売上 | 前年比 |
|---|---|---|
| 国内 | 278億円 | +0.5% |
| 海外 | 100億円 | +7.6% |
海外がしっかり伸びて、売上全体を押し上げています。
特に伸びたのは……
- アメリカ:ヘアケアが絶好調
- 韓国:順調に売上拡大
海外戦略がうまくいっていることが分かります。
ではなぜ利益が大きく落ちたのか?3つの理由
売上が増えたのに利益が下がるのは「コスト増」や「一時的な損失」のせいです。
① 粗利(売上総利益)が減った
- 染毛剤が伸び悩み→利益率が下がる
- 化粧品の評価損を計上→利益を押し下げる
② 販管費が増えた(人件費・広告費・物流費)
特に以下が大きく影響:
- 人件費の増加(採用増+賃上げ)
- 万博関連による広告宣伝費増
- 海外物流費の増加
→ 売上が伸びても、利益が削られた原因
③ 投資有価証券の評価損が7億円超
投資していた資産の評価が下がったため損失を計上。
これだけで利益が一気に削られた形です。
財務体質は超健全。自己資本比率85.6%の“鉄壁”企業
利益は落ちたものの、財務の安全性はむしろ強化されています。
- 総資産:545億円
- 純資産:467億円
- 自己資本比率:85.6%(前期: 82.9%)
自己資本比率85%超というのは、企業としては異常レベルに強い財務状態で、
「借金ほぼゼロで巨大な会社を運営している」
くらいの安定度です。
この強さがあるから、ミルボンは攻めた海外展開やブランド戦略を続けられます。
今後の業績見通し(通期予想)
会社が出している通期予想は据え置き。
| 指標 | 通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 523億円 | +1.9% |
| 営業利益 | 53億円 | -22.5% |
| 当期純利益 | 30億円 | -40.2% |
◎ 売上は伸びる見通し
× 利益は落ちる見通し
決算の結果を見る限り、
“利益の弱さはすでに織り込んだ予想”
と言えます。
ミルボンの強みと今後注目のポイント
① 海外市場(特に米国)が成長ドライバー
米国のヘアケア市場は巨大で、ミルボンはここを重点強化。
人員増強・ブランド戦略にも力を入れています。
② 国内は「高付加価値化」で攻める
- スマートサロン
- milbon:iD
- 高単価カラー
- 美容師向け教育(ソムリエ制度)
価格競争ではなく、付加価値で戦う戦略です。
③ 財務体質の強さが最大の安心材料
自己資本比率85%はトップクラス。
景気が悪くなっても耐えられる力があります。
まとめ:利益は落ちたが、成長戦略は明確。財務も鉄壁
ミルボンの2025年第3四半期決算は、
- 売上は増加
- 利益はコスト増と評価損で大きく減少
- 海外&ヘアケアは好調
- 国内の染毛剤が課題
- 財務体質は超安定
- 海外成長戦略は継続
という内容でした。
短期的には利益が落ちていますが、
中長期的には海外成長と強い財務が支えになる企業です。
美容・化粧品セクターの投資を考える人にとって、ミルボンは今後も注目すべき銘柄と言えるでしょう。


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