プレミアアンチエイジング(4934)の現状と投資家の悩み
プレミアアンチエイジング株式会社は、東証グロース市場に上場する企業で、主にアンチエイジング事業(DUO、CANADEL、clayenceなどの化粧品・健康食品)と、子会社ベネクスによるリカバリー事業(リカバリーウェア)を展開しています。
多くの方が株価下落により含み損を抱えている状況で、今後の投資判断に迷われていることと思います。会社の最新の業績と将来の計画を詳細に確認し、冷静に判断するための材料を整理します。
2025年7月期は「減収増益」を達成:注目すべき数字
2025年7月期の実績は、売上高は減少したものの、利益面で大きな改善が見られました。
| 項目 | FY2025 実績(百万円) | 対前期増減率 | 計画比増減率 | 備考 |
| 売上高 | 16,160 | △20.6% | 1.0% | 全社実績は減収も修正計画は達成。 |
| 営業利益 | 617 | 343.8%増 | 105.7%増 | 計画を大幅に上回る。 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 471 | - | 293.2%増 | 3期ぶりに黒字を計上。 |
売上高は、アンチエイジング事業の減収が影響し、前期比で減少しました。しかし、営業利益は前期比で343.8%増となる617百万円を達成し、修正計画を大幅に上回りました。
この利益の大幅改善の背景には、主に以下の要因が挙げられます:
• 新規獲得広告効率の不十分な改善:新規獲得に係る広告宣伝費を中心とした販売費が計画を下回ったこと。
• 固定費削減の継続:適切なコストマネジメントを実行したこと。
事業セグメント別の明暗:リカバリー事業の成長
当社の事業は「アンチエイジング事業」と「リカバリー事業」の二本柱です。
| セグメント | FY2025 実績(百万円) | 対前期増減率 | 概要 |
| アンチエイジング事業 | 売上高 12,926 | △29.5% | 売上は通信販売、卸売販売ともに前期実績を下回る。利益は大幅に改善(黒字化)。DUOリニューアルに伴う返品影響があった。 |
| リカバリー事業(ベネクス) | 売上高 3,233 | 60.0%増 | 主力製品の牽引とシーズン商材の好調により期初計画を大幅超過。営業利益は投資実施により前期比で減少。 |
リカバリー事業(ベネクス)は売上が前期比60.0%増と順調に伸長しており、全社実績の売上減をリカバリー事業の売上が計画を上回ることで一部補う形となりました。リカバリー市場自体は、2024年に6.0兆円と推計され、今後も高い成長が期待されています。
決断の鍵:2026年7月期業績予想と成長戦略の検証
投資家が最も注目すべきは、今後の業績見通しと、それを実現するための企業の戦略です。
2026年7月期は「ブランド投資拡大」で利益減少を計画
会社は2026年7月期の業績予想において、売上高の底打ち・反転を目指すとしています。しかし、利益は大きく減少する見込みです。
| 項目 | FY2025 実績(百万円) | FY2026 予想(百万円) | 増減額 | 増減率 |
| 売上高 | 16,160 | 16,500 | 339 | 2.1%増 |
| 営業利益 | 617 | 300 | △317 | △51.4%減 |
この営業利益の大幅な減少(△51.4%減)は、ブランドへの投資拡大に伴うものであると説明されています。2025年7月期は広告宣伝費を中心とした販売費が計画を下回り利益が増加しましたが、2026年7月期はこの投資を積極的に再開する計画であることがわかります。
各事業セグメントの今後の成長戦略
2026年7月期は、アンチエイジング事業の売上の反転と、リカバリー事業の更なる事業拡大を目指します。
アンチエイジング事業の取り組み:
• ブランドマネジメント:ブランド価値向上へ向けた新商品・限定品の投入やコミュニケーションの継続実行。
• 通信販売:未トライアル層へのリーチ強化による新規獲得、顧客単価向上・クロスセル促進に向けたCRM施策の拡充。
• 育成ブランド:「Lalaskin(ララスキン)」ブランドの育成(2025年9月より約5,000店舗で本格展開予定)。
• 卸売販売/海外:卸売先企業との連携深化、ECモール事業の強化、インバウンドとの連携強化、中国事業への取り組み継続。
リカバリー事業の取り組み:
• 成長市場での事業拡大と、休養学に基づくリカバリーノウハウの啓発を両立。
• ブランディング、デジタルマーケティング、CRM、新製品開発、店舗展開など、消費者とのつながりを強化。
• プレミアアンチエイジンググループとしての連携強化とグループシナジーの創出。
成長市場における主要ブランドの競争力
アンチエイジング事業の主力ブランドは、それぞれ競争力のある市場地位を確立しています。
• DUO(デュオ):創業来の主力ブランドで、クレンジングバーム市場のパイオニアです。2024年のクレンジング(バーム剤型)のブランドシェアでは42.1%を占め、圧倒的な競争力を持っています。市場自体も2021年以降緩やかに再拡大しています。
• CANADEL(カナデル):オールインワン化粧品市場で競争力のある地位を確立しており、2024年のブランドシェアは15.9%です。
• VENEX(ベネクス):リカバリーウェアのパイオニアであり、リカバリー(休養・抗疲労)市場は2024年に6.0兆円と推計され、2030年には14.1兆円に成長する見込みの高成長市場です。
持ち続けるか、損切りか?判断のヒント
含み損を抱えた投資家にとって、この株を持ち続けるか、損切りするかは、2026年7月期に計画されている「先行投資」が将来の成長につながるかどうかにかかっています。
ポジティブな判断材料(持ち続ける理由)
• 利益構造の改善と財務の健全性:2025年7月期は3期ぶりの黒字を達成し、自己資本比率も65.1%と健全性が向上しています。厳しい事業環境下でも利益を創出できる企業体質へ向けた取り組みが進んでいます。
• 成長市場でのパイオニア的地位:リカバリー事業は売上が前期比60.0%増と大きく伸長しており、今後も高い成長が期待されるリカバリー市場でパイオニアとしての地位を強化しています。
• 主力ブランドの強固なシェア:アンチエイジング事業の主軸であるDUOはクレンジング(バーム剤型)市場で圧倒的なシェア(42.1%)を維持しており、ブランド力が健在です。
ネガティブな判断材料(損切りの検討理由)
• 先行投資による利益の激減リスク:2026年7月期は、売上の反転を目指してブランド投資を拡大するため、営業利益が前期比で51.4%減と大きく落ち込む予想です。この投資が期待通りの売上反転や新規顧客獲得に結びつかない場合、業績が計画を下回るリスクがあります。
• アンチエイジング事業の売上回復の遅れ:2025年7月期はリカバリー事業が牽引したものの、アンチエイジング事業は大きく減収しました。DUOのリニューアルによる返品影響などもあり、売上回復には時間がかかっている状況です。
• 市場の不確実性:国内化粧品市場は緩やかに回復傾向にあるものの、オールインワン市場は横ばい傾向が続いており、市場全体の成長スピードには注意が必要です。
最終的な判断は「投資効果」にかかっている
含み損の状態から持ち続けることを選ぶならば、企業が計画している2026年7月期の先行投資(ブランドへの投資拡大)が、将来的にアンチエイジング事業の売上反転と、リカバリー事業の更なる成長に繋がり、予測以上の成果を出せるかどうかを注視し続ける必要があります。
もし、投資効率の改善や売上回復が遅れる兆候が見えた場合、計画通り利益が大幅に減少する可能性が高いため、リスクを避けるための損切りを検討する判断のタイミングとなるでしょう。
※本記事はプレミアアンチエイジング株式会社の公開情報に基づいて作成されたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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