美容機器メーカーとして知られるヤーマン株式会社(6630)が、2025年12月12日に「業績予想の修正」と「2025年12月期 第2四半期決算」を発表しました。
結論から言うと、今期は大幅赤字の見込みですが、“将来の成長に向けた投資フェーズに入っている段階”であることが読み取れる内容でした。
本記事では、投資初心者でも理解しやすいように、ヤーマンの業績・財務状況・今後の戦略をわかりやすく解説します。

ヤーマン株を保有している方、購入を検討している方の判断材料になれば嬉しいです♪
今期の業績予想は大幅な下方修正
ヤーマンは2025年12月期(変則8カ月決算)の通期予想を大きく下方修正しました。
・売上高:18,000 百万円→16,500 百万円(▲8.3%)
・営業利益:450 百万円→ ▲800 百万円
・経常利益:405 百万円→▲800 百万円
・純利益:250 百万円→ ▲1,400 百万円
特に純利益は 黒字250百万円 → 赤字1,400百万円 と大きく悪化しています。
下方修正の主な理由
ヤーマンが赤字見込みとなった背景は以下の4つ。
- 消費低迷・インバウンド減少
物価高や円安で、消費者の財布の紐が固くなっている。 - コスト上昇(円安の影響)
仕入れコスト増で利益が圧迫。 - 戦略投資と構造改革の過渡期
将来に向けた「攻めの投資」を進めており、一時的に利益が減っている。 - 一時費用の計上
財務基盤見直しに伴う費用を前倒しで計上。
ここまでは、典型的な“成長投資による一時赤字”のパターンといえます。
2025年 第2四半期決算は大幅減収減益
同日発表の中間決算も、前年同期比で減収減益となりました。
・売上高:▲9.5%
・営業利益:643百万円 → ▲1,160百万円
・純利益:6百万円 → ▲1,196百万円
ただし、内訳を見ると“落ち込みの理由”が明確になります。
セグメント別の状況:不調と好調が混在
通販部門:地上波テレビ通販の不振(大幅減)
売上:▲46.1%
利益:▲50.3%
テレビ通販依存が大きく響きました。
店販部門:インバウンド減少で悪化
売上:▲20.5%
利益:▲61.5%
ドラッグストア・百貨店チャネルが苦戦。
直販部門:売上は増加、利益は減少
売上:+4.9%
利益:▲41.8%
子会社との商流整理で“過渡期”。
整えば再び利益率回復の可能性。
海外部門:中国市場の広告費増で減益
売上:+3.9%
利益:▲99.3%
売上は伸びているが、広告強化で利益が激減。
ただし、後述の“医療機器認可取得”は大きいプラス材料。
新製品開発とグローバル展開は着実に進行
業績は悪化していますが、ヤーマンは中長期の成長に向けて重要な成果を得ています。
新製品の開発
・「ブルーグリーンマスク リフト」
コードレスLEDマスクで新市場を創出。
・電動歯ブラシ型美顔器「オーラルリフト」
・減塩サポート食器「エレキソルト」
用途拡大で新たな領域へ挑戦。
中国NMPAの医療機器認可取得
中国で販売する際の“最高レベルの医療機器認定”を日本企業として初取得。
2026年規制強化前にポジションを築けたのは大きい。
Tmallで1位獲得(独身の日セール)
中国ECで高い支持を得ており、ブランド力は維持されています。
財務状態:利益は赤字だが、財務の安全性は高い
2025年10月時点の財務状態は以下の通り。
・総資産:減少(現金減)
・純資産:減少(損失計上+配当)
・自己資本比率:87.4%(非常に高い)
赤字とはいえ「潰れる心配はほぼ無い」レベルの財務健全性です。
中期経営計画は2026年3月へ延期
本来2025年12月に発表予定だった新・中期経営計画は 2026年3月へ延期。
理由は
「実現可能性の高い計画を作り直すため」。
テーマは以下の2つ。
- “美顔器といえばヤーマン”の復活
- 日本発のグローバルブランド創り
中身が精緻化されるほど投資家にとってはプラス材料になります。
株主還元:赤字でも配当は維持
2025年の年間配当は 9円(中間4.75円) を予定。
赤字でも配当を出すのは「株主還元姿勢を重視している証拠」。
長期保有を意識した企業姿勢といえます。
まとめ:ヤーマンは“赤字=悪”ではなく、成長投資フェーズ
ヤーマンの2025年は、短期的には厳しい数字が並びますが、
・新市場を作り出す製品
・中国医療機器認可という大きな武器
・強固な財務基盤
・中期計画の作り直し
・配当維持
これらを踏まえると、
「短期赤字 × 中期プラス材料が多い企業」
という位置づけになります。
“数字だけで悲観しない”という学びにもなる決算でした。















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